VTuber、もといインターネット、終わりです。

「あ~あ、辞めちゃった。」

 

 

21/6/30、元にじさんじ所属VTuber、鈴原るるの最終配信を観終えて最初に出てきた感想。

 

もちろん、この「あ~あ」には自分が最も好きなにじさんじという箱から、その左手のような存在として君臨したライバーが引退することへの喪失感というものは確かに存在するが、その感情はやはり3ヶ月前の引退劇と比べれば己の中では遥かに小さかった。

 

今回重要なのは、引退理由。

 

「脅迫じみたものを1度ではなく複数回受けていた。それは警察と相談することで一つずつ解決していけばいいものだが、そのたびに理由を有耶無耶にして活動を休止する期間が生まれることでリスナーに心配をかけることに耐えかねた。」

 

これが引退の主たる理由。(簡潔にしています。詳細は本放送のアーカイブからどうぞ。)

 

 

リスナーが最も望まなかったであろう、2021年6月でのピリオド。

ひょっとしたら、一部の"狂人"もこの結末を望まなかったかもしれない。

 

そして本人の配信での言葉を信じるならば、やはり当初は本人も望んでなかった結末になってしまったのだろう。ここは、今でもリスナーが好きで、配信が好きで、ゲームが好きという、彼女の言葉を信じてみよう。

 

 

それでも彼女の引退を止められなかった、その要因が99%以上のリスナーではなく1%にも満たないごく一部の"狂人"にあることは火を見るより明らかである。

 

 

インターネットは大きくなりすぎてしまった。

 

 

かつてのインターネットは限られた有識者がそこらに散らばった情報を吟味し、「嘘をうそと見抜く」ことで情報を仕入れていた。

だからこそ使用者のほとんどは現在言われる「ネットリテラシー」というものを当たり前に持っていたし、当たり前すぎるが故、そんな言葉は存在しなかったと思う。していたとしても現状のような大っぴらに言われる単語ではなかったことは間違いない。

 

インターネットへ情報を発信することの危険性をほとんどの使用者が分かっていた。

 

2010年代になり、徐々にスマートフォンが浸透し始め、人々の繋がりは手紙・電話・メールからLINE・TwitterFacebookなどへと変遷していった。未知との出会い、より密接な人間関係を求めた人間などによってそれらは急激に拡大した。

やがてインターネットは生活において必需となった。

必需となるということは、これまでインターネットに触れてこなかった"狂人"が半ば無条件にインターネットの野に放たれることを意味する。

 

インターネットを何も理解していない、周りが全く見えていない狂人が猛威を振るう。

 肥大化したインターネットの中で生まれた美しい文化が、醜い狂人によって壊されていく。

 それへのやるせなさが、「あ~あ」の中身。

 

 

あなたの何気ないインターネットでの言動・行動は、それを通して全世界へと拡がる。

 

盲目になっていないか?

他者に悪影響を及ぼしていないか?

 

影響を受けるのは個人個人であるから自己責任だろう、という考えもあるだろう。

しかし、かつての思考して用いるインターネットを通ってきた身としては、この無思考なインターネットの考え方は本当に残念で、息苦しい。

 

 

半年ROMれ」という言葉がある。

郷に入れば郷に従え、ということわざと似た意味であると言えば伝わりやすいだろう。

ROMとはRead Only Memberの略であり、「インターネット上である場の慣習がある程度理解できるまではその場で発言をするな」という意味合いである。

ネットリテラシーという単語が存在しない頃のそれを代替する代表的な言葉であり、かつてのインターネット使用者の殆どは理解していたと思う。

 

もちろん、今インターネットにおいて「半年待つ」必要はないと思う。しかし、今一度考え直してみてほしい。

 

インターネット上でも、相手は人。顔が見えないからと言って強情にならず、相手を考えたコミュニケーションを行うことが必要である。

 

発信が手軽になった今これを考える機会が減っている。その手軽な発信をする前に、0.1秒くらいこのことを考えるだけで、肥大化したインターネットの大きさを最大限活かした、呼吸のしやすいインターネットが返ってくるかもしれない。

 

自分が狂人にならないように、今一度再考する必要があるだろう。

 

 

だが、いま恐らくこの文章を読んでくださっている方に狂人はいないだろう。この文章が読めているのだから。

 

狂人には何を言っても無駄。狂人はこのようなことを理解できない。

 

だから自衛するしかない。

 

だが、狂人は自衛で守れる域を簡単に飛び越えてくる。強いて言えばインターネットを開かないことが唯一の手段となる。それでも時にはインターネットを飛び越え地上で武力行使をしてくる場合もあるのだから、防ぎようがない。

 

 

再考できる人間が再考したところで、真の狂人が蔓延っていては何の意味もない。正直者が馬鹿を見る構図の完成である。

 

インターネットは真の狂人によってすでに破綻してしまっている。

 

引退理由が明かされないことがほとんどであるVTuberという活動において、このような引退理由が語られた。これはインターネットのごく一部に過ぎないが、58万人の登録者を引き連れた活動者のダイイングメッセージと相成ってしまった。

 

そして今日、21/7/1にも登録者130万人を誇る、2020年にYouTube上で"世界一"を獲ったVTuberが引退する。

理由は多くは語られないだろうが、大きな要因にひょんなことから発生した「継続的な荒らしと誹謗中傷」があることは間違いない。

 

いよいよ氷山の一角が崩れ始めた。